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車の再生に命をかけるボディワークス・アルファの板金日記 ≪毎週水曜日 20時に更新≫

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2018.12.26 Wed
ミッチェル解読ポイント ③

 ミッチェルを解読する最大のポイントは、歴史を考慮することです。ミッチェル社の設立は1946年。70年以上の歴史があります。70年前と今とでは、同じ車が走っているでしょうか。機能、構造、形状、あらゆる部分が異なっています。同じ修理方法や工具、補修材料や補修塗料を使っているでしょうか。昔と変わらない工具もありますが、一部だけです。補修用のラッカー塗料などは、入手自体が困難です。

 40年前の自研指数の最初期のマニュアルと今のマニュアルでは、比べれば相当に異なっています。ミッチェルも70年という歴史の中で、周辺環境に歩調を合わせながら変化してきました。その歴史が明確に残っている部分が、Procedure 20-Quarter Panel(手順20-クォーターパネル部の解説)です。Includes Operations (含まれる作業)とNot Includes Operations (含まれない作業)に分かれます。クォーターパネル取替時に含まれる作業の中に、次の一文があります。Remove and replace urethane set glass; Back window and moulding,Quarter window and moulding

 この部分を意訳すると、クォーターパネルの取替作業には、接着式のバックウインドガラス及びクォーターウインドガラスの取替作業を含む。つまり接着式ガラスを新品に取替る前提で、工数が作られています。ガラスが割れていない状態で再使用する場合は、取り外し作業は別に、既定工数を加算します。ちなみにゴム式ガラスの場合は、脱着再使用が前提となっています。

 この部分を現在の感覚で読むと、ミッチェルは独特で理解し難いと感じます。バックガラスまで割れる事故は多くありませんし、脱着再使用するのが通常です。ミッチェルが創刊された70年前に戻って考えます。

 1940年代のアメ車の画像を見ていくと、既に接着式ガラスが採用されています。ガラス周辺に鉄のクリップを嵌め込み、それごとボデーに張り付けています。メッキモールを周囲のクリップに嵌め込んで、接着部を覆う構造です。車自体は別体フレームの上に、鉄の箱(ボデー)を載せている状態です。頑丈に作れと、前から後ろまで、同じ板厚の鉄板で作っています。鉄の棺桶です。この構造の車で、クォーターパネルを取替るほどの損傷を負えば、ほぼ100%近い確率でガラスが割れます。

 現在のようなモノコックのクラッシャブルボデーが出てきたのは、ミッチェル創刊から10年以上経ってです。1959年にクラッシャブルボデーの概念を市販化した車をベンツが発表し、世界に衝撃を与えました。1台の車を、前後のクラッシャブルゾーンと中央部のセフティゾーンに分ける。車の構造が変わり、ガラスは割れにくなりました。現在の車(セダン)でバックガラスまで割れているとしたら、相当に大きな事故です。ミッチェル創刊当時は、さもない事故でも、ガラスは割れたと想像できます。割れるのが通常だから、新品取替前提で工数が作られたと考えると、これも理に適っています。

続く

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