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車の再生に命をかけるボディワークス・アルファの板金日記 ≪毎週水曜日 20時に更新≫

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2018.05.30 Wed
 5月20日は、静車協第44回通常総会でした。平成30年度事業計画の一つとして、「料金体系の基準に関する調査・研究 」を提案し、承認を得ました。43年間に亘って構築された自研指数と、それに基づく料金体系の見直しです。今年度より継続して取り組んでいきます。他県車協の皆様も、ご協力お願いいたします。下記が静車協の事業提案書です。


自研指数の見直しについて

自動車鈑金塗装業の料金体系は、自研指数を基準として算出されることが一般的となっています。しかし自研指数は下記のような、大きな問題を抱えています。

1. 自研指数作成時の前提として定められている6つの標準条件のうち、標準作業者は単なる概念(イメージ)であって実態が無い。実態が無いから数値化できないし、標準作業者の関わる作業の正確な再現もできない。

2. 故に自研指数の正確な検証作業は不可能であり、指数値が本当に正しいかどうかは、誰にも分からない。

3. 作業者の技術レベルは、計測数値に大きな影響を与える。作業者の技術レベルを意図的に変えれば、計測者の望む方向に計測数値を動かすことも可能である。第三者を交えずに、自研センター関係者だけで作成された自研指数の公正には、疑問が生じる。

つまり自研指数は、損保が主張するほど公正明朗な数値ではないということです。論理的には大きな矛盾を抱え、正確な検証作業もできない状態となれば、指数値の信憑性にも、疑問を感じざるをえません。

またミッチェルデーターブック及び日整連整備標準作業点数表と、自研指数との比較検証をおこなうと、自研指数の特異性が際立ってきます。同一車種で同一作業した場合の数値は、作業部位によっては、著しい差が見られます。このことから自研指数作成時の作業者の技術レベル設定は、他の基準よりも高いことが推測されます。

アジャスター制度が半ば崩壊し、近い将来にAIが、自研指数を基準として損害査定する時代に入ると予想されています。このような状況下で、今後も問題を抱えた自研指数を現状のままで、修理料金算出基準として使用していくことには危惧を覚えます。

静車協としては、日車協連という組織単位で修理料金算出基準の適正化の研究・検討をおこない、また関係諸団体とも連携を図りながら、損保及び自研センターとの協議の開催をおこなうことを提言していく所存です。

 

 自動車鈑金塗装は、我々の商品です。我々が主体となり、商品の売値を決めていく。勿論そこには、買い手側である生活者の意向を考慮する必要があります。保険対応するかどうかというのは全く別の話でして、我々の視線は、エンドユーザーである生活者に注ぐべきです。今まで50万で修理できたものが80万になったら、そんなお金出してまで修理しないと言われるかもしれない。場合によっては、レートの引き下げも考える必要があります。

 理想的には日車協連が中心となり、業界関係者を集めて協議できたらと思います。でもこれは、現実的には難しそうです。ミッチェルと自研指数をテーマに書きだした当初は、自分の役割は問題提起と限定していましたが、どうやらそうもいかない雰囲気です。最初の一石を投じた段階ですから、暫く様子を見ます。手分けしておこなっているアジアンの解析も、少しづつですが進んでいます。とりあえず来週からは、通常のブログに戻します。

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2018.05.23 Wed
 自研センターが設立されてから40年以上に亘って、損保は指数の普及を営々と進めてきました。指数は正しいというイメージを浸透させました。ここまで普及が進んだ理由の一つは、アジャスター制度があったからです。アジャスターが文字通り修理工場とアジャストしてきたからこそ、工場側は不満があっても指数を受け入れてきました。しかし従来のアジャスター制度は、半ば崩壊しました。近い将来には指数に基づき、AIが損害査定する時代に入っていきます。

 指数が明らかに正しければ、流れに身を任せても良かったのです。しかし虚構の上に積み上げられた、砂上の楼閣と気づいてしまいました。根幹となる標準作業者に実態が無ければ、論理的には既に破綻しています。指数に基づく損害査定は、鈑金屋の親父の理屈抜きの請求と、根本的な部分で同じとしか思えません。ただ少し厄介なのは、正確な検証ができないことの裏返しで、指数が間違っているとも言えない、中途半端な状態になっていることです。

 今後どうするかですが、別の料金基準との比較検証が最適と考えます。ミッチェルデーターブック海外版の中に、アジアンという日本車を対象に含む3冊セット(15メーカー収録)があります。ミッチェルと自研指数では、同じ数値の記載でも、意味合いが異なります。全く同列に並べることはできませんが、指数を客観的に評価する目安にはなります。理事会の承認を得て、静車協の事業費で購入しました。同一車種・同一作業での比較を始めています。

 日本語版ミッチェルを見る感覚で眺めていますが、現場作業者として納得できる部分が多々あります。作業が楽と思う部位は、ミッチェルの数値も小さいです。逆に分が悪くて触りたくないと思う部位は、それなりの数値が記載されています。現場の感覚には、指数よりもマッチします。全て英語表記ですし、作業の前提条件も違います。解釈が間違えている可能性もあります。ですから今後は組織単位で、英語が堪能な方やミッチェルに詳しい方を交えての精査が必要となります。

ミッチェル (1) 

ミッチェル (2)  
ミッチェル (3) ミッチェル (4)
ミッチェル (5) ミッチェル (6)

 日車協連会員でアジアンを入手希望する方は、各県車協事務局を通じて、静車協事務局までご連絡ください。会員外からの問い合わせには対応できません。価格は手数料込みで、1冊3万円(税別・送料別)です。

次回、「主体性回復への一歩」に続く

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2018.05.16 Wed
 ここにきて、ミッチェルに関する情報が集まりだしました。先週までのブログの内容を、思考経路に沿って纏めていきます。

 先ずミッチェルデーターブック(ミッチェル)と自研参考指数(指数)の数値差に、疑問を感じるところから始まりました。同一車種の同一作業で、2倍前後の数値差が発生する理由を考えました。ミッチェルは実測の平均値です。ある作業を始めてから終了するまでの実測ですから、作業中に汗を拭いたりトイレに行ったり、場合によっては電話で与太話をしている時間も含まれている可能性があります。計測時間全体の中で、主体作業以外に費やす時間の割合は不明です。仮に余裕率50%で半分遊んでいるとすれば、1時間内の正味作業時間は30分です。

 指数の場合は、1時間内の正味作業時間は40分と決まっています。残り20分のうち8分が準備時間で、12分は余裕時間です。双方の正味作業時間を比べると、ミッチェル30分で指数40分です。となれば同一作業で正味作業時間が同し結果だった場合には、ミッチェルでは指数の1.33倍の数値が記載されます。現実は概ね倍ですから、そこから逆算すると、ミッチェルの正味作業時間は20分となります。作業計測でビデオ撮りされている状況下で、60分のうち20分しか主体作業していないというのは、常識的に考えて異常です。

 となれば、倍の数値差が発生する原因は、他にあると考える方が自然です。計測時の作業者の技術レベルの差が数値差として現れると考えれば、全ての辻褄が合ってきます。では具体的に、作業者の技術レベルの差は如何ほどなのか。ミッチェルが普通の作業者ということは分かっています。指数は、自研センターが標準作業者と呼ぶ作業者です。標準作業者とは、どのような作業者かを考えていくうちに、業界の常識を根底から覆す結論に達しました。

  1. 自研指数作成時の前提として定められている6つの標準条件の中で、標準作業者だけは単なる概念(イメージ)であり実態が無い。実態が無いから数値化できないし、標準作業者の関わる作業の正確な再現もできない。

  2. 故に自研指数の正確な検証作業は不可能であり、指数値が本当に正しいかどうかは誰にも分からない。

  3. 作業者の技術レベルは、計測数値に大きな影響を与える。作業者の技術レベルを意図的に変えれば、計測者の望む方向に計測数値を動かす事も可能である。第三者を交えずに、自研センター関係者だけで作成された指数値の公正には疑問が生じる。

  4. ミッチェルデーターブック及び日整連整備工数と自研指数を比較検証して、同一車種で同一作業した場合の数値差の激しさから、自研指数作成時の作業者の技術レベル設定だけが、他の基準よりも飛びぬけて高いと推測される。

  5. 修理現場の実情から乖離した設定から導かれた数値は、理想値である。正確な検証作業もできない状態では、信憑性も薄いと言わざるをえない。修理現場の料金体系の基準として、現状のままの自研指数を使用するのは不適切と考える。

 以上がリペゾウの結論です。いつの間にかミッチェルが、脇役になってしましました。標準作業者に実態があるのかどうか、こちらの方が遥かに大きな問題です。指数計測時の前提である標準条件に実態が無いとしたら、指数値は公正明朗であるという損保側の主張が、根底から崩れ落ちます。リペゾウも最初はショックで茫然自失ですよ。もし反論できる方がいるなら、ぜひコメントください。一字一句違えずに掲載します。

 現状の自研指数と指数対応単価に依る料金体系は、自動車鈑金塗装業界の犠牲の上に成り立っています。修理現場で努力して、作業者の技量を高めたり資格取得させたりしても、それがストレートな収入増には繋がりません。かなり低いレベルで、頭打ちとなります。試しに現行の指数方式と指数対応単価から逆算する形で、作業者一人辺りの年間工賃売上を算出します。前提条件は下記です。
  1. 理想的な標準作業者がいる。
  2. 遅刻や早退、欠勤はしない。
  3. 就労時間内は脇目もふらずに、黙々と作業する。
  4. 作業スピードは指数1.0と決められた作業を、確実に1.0でこなす。
  5. 作業精度は高レベルで安定しており、やり直しは無い。
  6. 勤務する工場は高レベルの作業管理が為されており、現場作業者の稼働率は70%とする。
  7. 年間総労働時間は、仮に2000時間とする。
  8. 指数対応単価は、仮に¥6500-とする。   
 人間というよりもロボットに近い標準作業者が、ハイレベルの工場で、仕事があり続ける状態の中で、1年間働き続けた結果の工賃売上は、¥6500-×2000時間×70%=910万円です。レス率ゼロで満額貰っても、910万円の工賃しか稼げません。仮に労働分配率40%とすれば、作業者の年収は364万円です。国家資格を保有し、普通の人ができない仕事をするにしては、あまりにも安いです。

 鈑金工場の経営者だって、けして楽ではありません。仕事量自体が減少していく中で、車の構造が大きく変わる変革期を迎え、それに対応する新たな設備投資が必要です。従業員への継続的な教育や資格の取得促進にも配慮しなければ、次の世代が育ちません。他業種並みに年収も引き上げなければ、今いる従業員も去っていきます。そういう切羽詰まった状況下で、経営の根幹となる料金体系の基準が間違っているとしたらもうやりようがないっすよ。

続く

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2018.05.09 Wed
 「標準作業者が標準工場で標準車両を標準作業工程で、標準部品を使用し、標準作業速度で修理作業した場合の正味時間。これに準備時間や余裕時間を考慮して、作業単位毎に作成された標準作業時間」と、このように自研指数は定義されています。計測時の前提として、6つの標準条件が定められています。ここに秘密が隠されています。

 標準工場、標準車両、標準作業工程、標準部品、標準作業速度、これら全てに実態があります。しかし標準作業者だけは単なる概念(イメージ)であり、実態がありません。実態が無いという意味合いは、数値化できないし、正確な再現もできないということです。 

 自研指数においての標準作業者は、「脱着取替作業、外板鈑金修正作業、内板骨格修正作業は実務経験3年程度、メカニカル作業は3級整備士程度の技能を持った者を、補修塗装作業は実務経験5年程度または金属塗装技能検定2級程度の技能を持った者」と定義されています。一括りに実務経験3年といっても、技能五輪出場を目指すような凄いのもいれば、箸にも棒にも掛からないのもいます。標準作業者の技術は、どのレベルなのか。数値化できないとしたら、もう自己申告で認定するしかありません。私が標準作業者ですと言えば、その方が標準作業者です。

 作業者の技術レベルは、計測時間に多大な影響を与えます。例えば指数値3.00のフロントドア取替作業で、リペゾウが作業者で時間計測すれば、たぶん設定数値内で終わりますしかし業界と無関係の素人さんの作業者で時間計測すれば、丸一日掛けても終わらないはずです。つまり作業者の技術レベルの設定を変更すれば、計測者の意図する方向に数値を動かすことが可能です。自研指数に関しての膨大な検証作業が実施されていますが、根幹である標準作業者自体の検証がなされていないとしたら、全てが無意味となります。参考数値以上の価値はありません。

 自研センターで指数値作成に関わった作業者の技術レベルは、相当に高いと推測します。そう考える理由を説明します。仮に全国から無作為に100名の、実務3年経験の整備資格保有者を集めます。彼らに数種類の作業を与え、指数値内で作業完了できるかどうかの実測試験をおこないます。標準作業者に相応しいかどうかの試験です。3人合格したら凄いと思います。現場から見て指数値は、そのくらい厳しい数値です。標準という言葉を使っていますが、実は選抜されたエリート。マーベルのヒーロー。これが自研指数標準作業者の実態です。
 
 ミッチェルデーターブックの作業者は、どこにでもいる普通レベルの作業者です。たぶん実測の平均値を採用していると推測します。実態のあるデーターベースから導かれた数値なら、客観的公平性が保たれます。指数値がミッチェルデーターブックの半分になる理由は、計測時の作業者の技術レベルが異なっているからです。そう考えると、全ての辻褄が合います。普通の作業者を対象に作成したのがミッチェルデーターブックで、選抜したプロフェッショナル作業者を対象に作成したのが自研指数です。ある意味、どちらも正しいわけです。

 日整連発行の自動車整備標準作業点数表(整備工数)と自研指数の数値差も、計測時の作業者の技術レベルが異なっていると考えれば理解できます。先ほどまで見積していた車のエンジン脱着の指数値は4.50で、整備工数では7.50です。整備工数の方がミッチェルに近く、修理現場の実情にも合っています。自研指数だけを見ていると気づきませんが、ミッチェルや整備工数と比較検証することで、自研指数の特異性が際立ってきます。
 
 プロフェッショナル対応の厳しい基準数値を採用し、レートはサンデーメカニックに毛の生えた程度に抑える。カラクリは単純だけど、効果的です。嘘もついていません。標準作業者の具体的な技術レベルに関しては、文中では一切触れていません。読んだ側で勝手に、このレベルと妄想したわけです。更に年数が経ってくると、3年経験で指数値内で作業完了できなければ未熟だと言う、御用ポチが次々と現れてきます。これは最初に数値ありきですから、いつの間にか、考える順番が逆になっています。

 計測結果を左右する最大要因は、作業者の技術レベルですが、みごとに視点を逸らされました。このカラクリを考えた奴は凄いです。半世紀近く気づかれなかったわけでしょ業界全体で自研指数という虚構の中に浸りきって、壮大な詐欺にあった感じです。でも買い手側主導で料金体系の基準を作らせれば、こういう結果になるのは必然とも言えます。今日の事態の責任は、料金体系の基準を他人任せにしてきた、我々鈑金塗装業界側にあるのは明白ですし今さら怒ってもしょうがないですわ。真剣に考えるべきは、これからどうするかです。

続く

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2018.05.02 Wed
 3月末に掲載した「ミッチェルと自研指数」ですが、時間が取れる状況になりましたので、前回からの続きを書きます。

 自動車鈑金塗装業の料金は、こと国産小型車に関しては、自研指数を基準に算出するのが一般的です。自研指数は買い手側である損保主導で設定された数値であり、売り手側である我々鈑金塗装事業者にとって、納得し難い部分が多々あります。しかし疑問を感じて話し合いを申し入れても、指数値の変更に関しては一切採りあってもらえないのが現状です。

 指数値は公正に検証された結果の数値であるというのが、損保側の基本的な見解です。それに疑問があるなら、裏付けのある根拠を提示する必要があります。損保及び自研センターとの話し合いの場を作り、指数値に、売り手側である我々鈑金塗装事業者の意向を取り入れ補正する方法を探っていました。自研指数の普及度を考慮すれば、指数の全面否定は現実的ではありませんが、改善の余地はあります。

 ミッチェル社発行のガイドブックは、米国自動車鈑金塗装業界の料金算出基準として、半数以上のシェアを取っています。また米国以外の多くの国でも利用されています。自研指数が通じるのは、現状では日本国内だけです。海外に出たらミッチェルです。日米双方で販売されているような車種、例えばトヨタのカムリあたりで比較して、同一作業で倍の数値が記載されていたとしたら、その数値も根拠が無いデタラメと言えるでしょうか。

 もちろんこの話は、ミッチェル海外版に日本車用データーブックがある事が前提になりますが、存在しているのは間違いありません。ミッチェルは米国自動車修理業者の為に、米国内で販売されている車種のデーターブックを発行している会社です。ジャガーやミニのデーターブックがあるのに、トヨタやホンダのデーターブックが存在しないのは不自然です。周囲に現物を見た方がいないというのも、考えてみれば奇妙な話です。

 「ミッチェルガイドブックに記載されている作業時間は、ミッチェル社が独自に計測した作業時間であり、作業時間に対する考え方は日米において異なるため、あくまで参考時間として捉えるようにと」、ミッチェルの前書きに記載されています。日米双方の作業時間に対する考え方の差が、数値差として現れていると要約できますが、この記載に対しては、疑問が湧きます。差が1~2割なら、この理由で納得できますが、倍になるはずがありません。数値差が発生する要因は他にあります。

 記憶が曖昧な部分もありますが、自研センターが設立されたのは1970年代初頭だったと思います。設立前には、当時の自動車先進国である米国を視察しているはずです。基本的な部分は米国から学んだと思われます。それを日本流にアレンジして、現在の自研指数の雛形ができたと推測します。技術の世界は万国共通です。作業時間に対する考え方や計測の方法など、基本的な部分に関しての差は小さいと考えます。同一作業の計測で倍の数値差が発生するとしたらもう要因は1つに絞られてきます。

続く

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