車の再生に命をかけるボディワークス・アルファの板金日記 ≪毎週水曜日 20時に更新≫

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2010.10.27 Wed
 色相に影響を与えている3種類の原色の特性と、1Lあたりの含有量です。

  300(バイオッレット) 赤味のある紫で、スカシが独特の黄味を帯びる  88.0g

  400(フタロブルー1) 正面とスカシに赤味が出る、さえた青です     100.6g

  406(フタロブルー3) 正面とスカシに黄味が出る青です          252.0g

 赤味のみが強くなるよう、上記の設定を変更します。順番に考えます。先ずの300ですが、カラーサークル上の位置からみても、増量で赤味が強くなる事は間違いありません。しかしスカシ方向で黄味を帯びるとなると、考え物です。

 次にの400を増量すれば、赤味と青味が強くなります。の406を増量すれば、黄味と青味が強くなります。青味は現状レベルで適正です。カラーサークルで青色を中心に考えますと、赤色と黄色は両翼になります。さてと… できるだけ単純に考えます。 400と406の2原色で青味が決まります。同時に400の持つ赤味と406の持つ黄味のバランスで基本的な色味が設定され、最後に300の混入量で補正していくと考えます。

 先ず300を変更対象から外し、400と406の2原色に絞ります。両方で1Lあたり352.6gが混入されています。この総量は変えませんが、2原色の混合割合を変更します。配合表では400と406の混合割合は、重量比で約30:70ですが、これを試しに、40:60にします。黄味のある406を減らし、その減量した分だけ、赤味のある400を増やします。他の原色はいじりませんから計量も楽です。こうしますと、全体の青味は、さほど変わらない状態で、赤方向にスライドする筈です。試しに少量だけ調合し、テストカードに吹き付けてみました。

 20P 調色済み  左がテストカードで右がボデーカラー 

 スライド量は経験とカンで推測しましたが、ほぼドンピッシャです昔は、こんな単純な事で苦労しました。これを読んでいる新人職人さん達原色特性を覚えて合理的に、そして単純に考えます。調色作業は平均10分以内が目標です。各塗料メーカーさんのカラーツールやマニュアルは整備されています。使いこなせば、不可能 ではありません。



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2010.10.20 Wed
 カラーはマツダの20P、イノセントブルーです。ネットでRMカラーエクスプローラーに接続しますと、基準色とティントカラーが2つ、合計3種類のカラーデーターが表示されました。指示に従い、3種類のカラーカードを選出します。

 20P 3色  一番左が基準色のティント1、続けてティント2、ティント3
  
 基準色T1に比べT2は青味が強く、T3は赤味が強いです。この3枚のカラーカードの中で修復中の車両に最も近いのはT3です。オリジナルボデー色と見比べて見ますと…

 RX7 色見本  左がカラーカードで、右がオリジナルボデー色です

 写真ですと、撮影条件で色相等が変化します。解り辛い部分もありますが、オリジナルボデー色の方が、更に赤味が強い状態です。この程度の色差なら、ボカシ塗装すれば判別できなくなりますが、今回は、更に調色作業を進めます。調色作業で比色する時の観点は、明度、彩度、色相、メタ感(メタッリク、パールの場合のみ)の4つです。

 T3とオリジナルカラーを見比べますと、明度、彩度、メタ感には違和感がありません。色相のみが狂っています。言い換えますと明度、彩度、メタ感は現状のままで、色相のみを赤方向に移動させたいわけです。30年前の自分なら、迷わず赤色の原色を追加し、きっと苦労したと思います。今は、先にT3の配合表をチェックします。

 T3は8種類の原色を混合して作られていますが、このうちの3種類の原色が色相に影響を与えています。2種類の青色原色(400と406)と1種類の紫色原色(300)です。赤色の原色は配合表に見当たりません

 この時点でハッキリと解る事は、赤味を強くするために赤原色を追加する事は危険を伴うという事です。絵画の世界の話ですが、素人目にも印象派の画風は明るく感じられます。これは純色の組み合わせにより、あらゆる色相を再現しようとしているからだと思います。純色ほど彩度は高く、濁色の彩度は下がります。配合表に記載されている以外の色を追加し、色数を増やせば、間違いなく彩度が下がります。別の表現をすれば「色は合っているけど何か濁ったような感じがして…スッキリとしない」こんな状態に陥ります。配合表に記載されている、3種類の原色の組み合わせ方を変更する事によって、赤味を強くしていきます。
 
続く


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2010.10.13 Wed
 私の父も板金職人でして、一応、二代目なんですが、昔の事を考えると恐ろしい事ばかりです高校を卒業して父のやっている工場に行きますと、塗装屋が止めていないから、とりあえず、お前が今日から塗装屋だと言われ、ガンを持たされました。10分ほどのレクッチャーで、父の全知識を譲り受け、そのまま初日に、イキナシ全塗装です。獅子は我が子を千尋の谷に落とすと言いますが、結果として、それに近いものがありました。

 塗装してる途中で、お客さんが様子を見にきました。今でも覚えています。お客さんの目の前で、ハイエースのフロントパネルの部分が、タラーと垂れ始めました父が「仕事で使う車だから錆なきゃイイんだ」と言い、お客さんは苦笑いですあらためてゴメンなさい  まだ、お元気でしょうか?

 当時は、車の色数も少なかったです。白のような1コートソリッドカラーが大多数で、2コートメタリックなら銀(シルバー)くらいですか。原色数も少なっかたから、昨日まで高校生の私でも、なんとか凌げました。今だったら絶対、無理だろうな…というか、当時でも無茶苦茶で苦労しました。だって、ついこの前まで高校生で、板金屋になる気なんて全然なかったもんね

 そんな訳で、これは不味いだろうと思い、必死に勉強しました。色彩や塗装、板金に関連した本は片っ端から読み漁りました。業界誌のBSRなんてバイブルです。隅から隅まで、擦り切れるほど読み込みました。見本になる先輩職人がいませんので、他所の工場に行き、そっと窓の隙間から覗いたりしながら仕事を覚えました。

 その当時、最も苦労したのは調色です。最初は、配合表の存在すら知りませんでしたから大変です。実車と何時間もニラメッコです。恐ろしい事に何時間も見ていると、混入されてる原色が見えるような気がしてきます。白いパネルの中に黒や黄色、緑等の粒が見えるんです。馬鹿げていると思うかもしれませんが、とにかく色に対する感覚だけは、異常なくらい研ぎ澄まされました

 今は、ほんと楽です。基本的な色彩理論を覚え、カラーツールの使用方法をマスターすれば、大概の色は10分から15分で作れます。経年変化等で手間の掛かる車が、100台に1~2台くらいの割合でありますけど、調色時間30分もあれば充分です。

 短時間で調色作業を済ませるために、各原色の特性を理解する事が必要ですが、多くの職人さんは、なかなか原色特性を覚えようとはしません。これは何故だろうと思い考えましたところ、実際の調色作業と原色特性との関連が解り辛いし、そういう観点から教えてくれる場も少ないようです。たまたま教材として解り易い車が入庫しました。次回から、実際に調色しながら、基本的な考え方を述べていきます。

続く



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2010.10.06 Wed
 事故車を修復する時、一番最初に行なう作業が損傷診断です。車両各部が正常な状態から、どのように変化しているかを正確に把握できれば、修復作業は八割方終了したも同然です。損傷診断しながら修復計画を立て、後は作業するだけです。下の写真は、出合頭の事故で入庫した車両です。

 アイシズ損傷部  フロントバンパカバーが外れた状態

 相手車両の前方からの入力で、バンパリインホースメントが折れてV字型になっていますが、左右対称ではなく角度が付いています。

 アイシズバンパホースメント  アイシズバンパホースメント拡大   拡大するとよく解ります

 損傷診断に、入力点と入力角度は重要です。この車両は、単純に前方から押し込まれたのではなく、左側から右側に向かい角度が付いた状態で入力してます。その結果、どうなるかと言いますと

 アイシスサポート  アイシス右フェンダ  

 バンパリインホースメントが右下側に押し込まれ、接続されている右サイドメンバー先端が右下方向に移動。右サイドメンバーに接続されている右サポートも右下方向に移動。右フェンダエプロン先端も右下方向に引っ張られた結果、右フェンダパネル先端の建て付けに異常が発生しています。

 フードパネル(ボンネット)前部は剛接されていませんし、相手車両にも接触していませんから、入力の影響を受けない正常な位置にあると考えます。フードを基準に考えますと、右フェンダ先端は右外側に開き、かつ下方に落ち込んでいます。 事故時は、入力点から順に隣接するパネルに影響が及び、力が吸収、消滅するまで続きます。一連の流れとして、矛盾なく説明する事ができない状態での修復作業着工は、無理があります。

 損傷診断力を高めるためには訓練が必要です。訓練は二段階に分けて行います。先ず修理作業着工前に、入力点から波及経路に沿って、車両を構成する各部位への影響、同時に各サスペンションの動きやエンジン・ミッションや補機類の動き、搭乗者や積載物の動き、場合によっては燃料タンク内のガソリンやエンジンオイル等の油脂類の動きまでを総合的に把握。頭の中で、事故時の入力により車が変化していく様子を、スローモションでビジュアル的に再現します。

  次に実際に修復作業に掛かりながら、イメージの損傷と実際の損傷を見比べていきます。ベテランでも100%一致させる事は困難で、私も見誤る事が多々あります。訓練すれば90%から95%くらいまでは、外見を見ただけで判断する事が可能になる筈です。



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テーマ:修理 - ジャンル:車・バイク
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