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車の再生に命をかけるボディワークス・アルファの板金日記 ≪毎週水曜日 20時に更新≫

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2019.01.30 Wed
ミッチェル解読ポイント ④

 ミッチェルと自研指数のどちらも、メーカーマニュアルを基本にした作業を想定しています。数値作成時の対象となる、作業自体に差はありません。同一車種の作業部位ごとの比較をおこなうと、双方の想定している作業は基本的に同じです。但しミッチェル工数では、作業部位によっては、他部位の作業を含む場合があります。ですからミッチェル使用時は、部位ごとの手順解説や注釈を必ず確認して、重複請求が発生しないようにする注意が必要です。この点に関しても、やはり歴史を考えなければいけないようです。

 ミッチェル内に、 Times for some operations are applicable after necessary bolted, attached or related parts have been removed という文章があります。意訳すれば、「主体作業をおこなうに必要な、ボルト系部品や関連部品を取り外す作業時間は、主体作業時間に含まない。」といったところですか。これが最も古いルールと推測します。70年前のミッチェルは、現在よりシンプルだったのは間違いありません。車自体が変化していく中で、ルール内に収まらない部分が多発して、手順解説で処理したと。やがて手順解説内でも処理できなくなり、作業部位内に注釈を付けて、特例として処理するようになったのだろうと考えています。

 我々は自研指数に慣れていますので、ミッチェルを異端と感じます。ですがミッチェルに慣れてくると、双方とも似たり寄ったりで、どこで区切るかだけの差です。同一車種・同一作業での数値差の発生は、統計処理の違いが影響した結果と推測しています。この点に関しては、自身が統計学を学び直す必要を感じました。一から勉強し直してます。今の段階で言えるのは、40年前に自研指数を作った方々は、かなり野心的だったという事くらいですか。現状の自研指数には、残念ですが、作成者側の主観しか感じられません。ミッチェルにも問題はあります。でも客観的な実態がある分だけ、まだミッチェルの方が納得できるし信用できます。

 昨年から長々と続けてきた解読は、ここで一休みとします。来年度の組合事業の一環で、ミッチェル講習会(中級編)を予定しています。夏休み後くらいになるかな。それに備えて、充電期間に入ります。

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2019.01.23 Wed
 静車協会員限定で、ミッチェル講習会(初級編)を開催しました。その時の資料から抜粋します。

例題②
H25年式 30プリウス カラー070(3Cパール)
左フロントドア・左リヤドアを新品パネル取替、左クォーターパネル鈑金(下処理面積8d)、左フロントフェンダをボカシ塗装

30プリウス 左側面修理

自研指数による塗装明細 (水性塗料、レート¥6000-、材料代割合15.0%で算出)
左フロントドアパネル取替          (2.10)     ¥12600-
左リヤドアパネル取替            (1.90)     ¥11400-
左クォータパネル修理(1/2)           (2.20)     ¥13200-
ブース加算                  (0.00)     ¥0-
加算基礎数値                 (5.30)      ¥31800-
防錆ワックス(3枚)             (0.30)     ¥1800-
塗装工賃計                         ¥70800-
塗装材料代計                        ¥10620--
塗装代総合計                        ¥81420-

 ミッチェル工数を使用して、同条件での塗装料金を算出します。
塗装工数簡易計算表 30プリウス 
 塗り枚数が増えると、余計な手間も掛かるし気も使います。クレームが付く危険度も高まります。職人目線では、計算表の各数値は納得できます。小さな作業が積み重なっていくと、6千円のレート設定でも、それなりにボリューム感のある数字が出てきます。顧客への説明も、実際におこなった作業を順番に喋るだけです。ミッチェルの方が分かり易くて簡単です。

 ミッチェルと自研指数、双方の数値差には探求心をくすぐられます。どちらも真面目に数値作成したはずです。作成過程での意図的な誤魔化しも無かったはずです。同一作業の数値計測で、これほど大きな差が出てしまうのは何故か。ミッチェル日本語版では、作業に対する考え方の違いと書いてありますが、どう違うのか。遊んでる時間まで工数に含むわけないし、準備時間や余裕時間に対する考え方が違うくらいでは、これほど大きな差は出ないはずです。失礼を承知で言わせてもらえば、何も分かっていないのか、それとも意図的にはぐらかすつもりかのどちらかです。

 リペゾウも数ヵ月ひたすら考え続けて、ようやく全容が掴めてきました。本来はミッチェルと自研指数は、もっと近い数値になるはずだったと想像しています。双方の根本的な違いは何か、数値差が発生する問題の核心は何処か、全てが自分なりに消化できるようになってきました。この部分は面白いが、やたらには喋れない。禁断の領域です。どの角度から叩かれても反論できるように、更なる思考の熟成が必要です。

( ^ω^)・・・続く

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2019.01.16 Wed
④仕上げサンドがけとバフがけ作業、遺物除去と最終仕上げ作業について

 ミッチェルのProcedure 28-Refinish Procedure(塗装手順の解説)の中に、Finish Sand & Buff(仕上げサンドがけとバフがけ)という項目と、De-nib & Finesse(異物除去と最終仕上げ)という項目があります。この2項目の作業内容は重複しているので、適用時に戸惑います。ミッチェルの歴史を考慮して考えます。70年前はラッカーの時代です。仕上げサンドがけとバフがけという項目は、この当時に作られました。

 ラッカー塗装したパネルは全面に研ぎを入れ、バフで磨きながら肌調整と艶出し作業をするのが一般的です。現在のウレタン塗料では、塗りながら肌調整をおこないます。塗り終わった時点で、軽なら軽に、高級車なら高級車に見合う肌に仕上がっています。磨かなくても、充分な艶があります。ブース内での作業が一般的です。塗装中に異物が付いた部分だけを、ピンポイントで研いで磨きます。時代が変わり塗料も設備も作業内容も変わり、異物除去と最終仕上げという項目が追加されました。つまり2項目のうちの1項目を、どちらかを加算するのが、正しい使い方となります。

⑥塗装材料代の扱いについて

 ミッチェルの塗装工数には、塗装材料代は含まれていません。別途で請求します。ちなみにミッチェル工数全てにおいて、作業に伴う材料代は含まれていません。パネル取替作業や鈑金作業に伴う、ペーパーやスポットドリル等の消耗品代も、別途で請求します。

⑦ミッチェル塗装工数簡易計算表

 手順解説を読まない方でも、誰でも簡単に塗装工数を算出できる計算表を作りました。手書きで使用します。上から順に、1から4までは、ミッチェルの掲載工数を入れます。そこから下は項目内の指示に従い、数値を入れていきます。次週のブログで、30プリウスでの使用例を掲載します。初めて見る方にとっては、かなり衝撃的な内容になります。 続く
塗装工数簡易計算表
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2019.01.09 Wed
 年末からの続きです。ミッチェルの歴史を感じる部分の一つが、Procedure 28-Refinish Procedure(塗装の手順)です。この部分を現在の感覚で読むと、疑問点が続出します。基本工数に調色作業を含まない?、マスキングはパネルの周囲に1m?・・・・・・不思議だらけです。歴史を考慮すれば、疑問点も納得できます。70年前はラッカーの時代です。その頃に作ったものをベースに、現在の手順解説ができています。ミッチェル全般に共通しますが、古いルールはルールで残して、そこに新しいルールを重ねていきます。新旧ルールが混在しています。塗装手順の中で、実務で迷う部分について解説をします。

①調色作業への加算について

 基本工数はパッケージカラー使用が前提で、既定量の硬化剤や希釈剤(シンナー)を混入する作業が含まれています。我々が日常的におこなう調色作業は、基本工数には含まれていません。実車に合わせて調色する際は、別に作業分を加算します。加算値は定まっていません。顧客と話し合って、個別対応で数値を決めます。

 個別対応とはいえ、調色作業に半日掛かったからと、4時間分を請求するのは無理があります。損保が認めないという意味の無理ではなく、相場を超えるという意味での無理があります。相場価格を超える商品は、並大抵ではない智恵と苦労を伴わずには売れません。自動的に高品質=高価格で売れるなら、マーケティングなど必要ありません。自力で売れない商品を損保に押しつけたら、それでは押し売りと同じです。

 相場の範囲内で、損保側も納得する数値を基準として採用した方が、長期的にはメリットがあります。補修塗装指数内の加算基礎数値を分解すると、調色全般に必要な作業は0.80です。これを基にして1色の場合は0.80を、2トーンカラー等の場合は、2色目以降に各0.40を加算することを提案します。高難度の調色作業が必要な場合は、基準値をベースに話し合えばよかろうと考えます。

 ミッチェルは塗装という作業を細分化し、おこなった作業を積み上げて料金算出します。個々の作業に対する数値は小さくても、合計すると、それなりの数値が出てきます。感覚的には第一次補修塗装指数に近いです。作業量と算出数値が正比例しますので、現場から見ての納得感はあります。塗り枚数が1~2枚の時の数値差は小さく、3枚から4枚と塗り枚数が増えるに連れて、数値差は拡大していきます。

②下処理作業への加算について

 ミッチェルは新品部品や、損傷の無いパネルを使用するのが前提です。中古部品や損傷パネル使用時の下処理作業は含まれていません。溶接部の下処理作業も含まれていません。鈑金部分の最終研磨作業は150番台となっています。ウレタンプラサフ2回塗りでシールして、乾燥後に仕上げ研ぎです。この部分を下処理作業として捉えます。作業量に見合う数値を加算します。加算値は定まっていません。顧客と話し合って、個別対応で数値を決めます。

 個々に作業量が違い、一律に同じ数値を入れる事はできませんが、目安としての基準が欲しいです。第一次補修塗装指数で使用された「比例修正パネル下処理およびスクラッチ指数」を流用する事を提案します。指数の黎明期に自研センターから発表されたもので、若い方は存在自体を知らないと思います。協定までおこなう事を前提に考えていますから、損保側の資料で使えるものは使います。

③シーリング作業への加算について

 ミッチェルでは取替工数の中に、水密の為の一般的なシーリング作業は含まれています。シーリングの形状や模様の忠実な再現を必要とする場合は、作業量に見合う数値を加算します。

続く

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2018.12.26 Wed
ミッチェル解読ポイント ③

 ミッチェルを解読する最大のポイントは、歴史を考慮することです。ミッチェル社の設立は1946年。70年以上の歴史があります。70年前と今とでは、同じ車が走っているでしょうか。機能、構造、形状、あらゆる部分が異なっています。同じ修理方法や工具、補修材料や補修塗料を使っているでしょうか。昔と変わらない工具もありますが、一部だけです。補修用のラッカー塗料などは、入手自体が困難です。

 40年前の自研指数の最初期のマニュアルと今のマニュアルでは、比べれば相当に異なっています。ミッチェルも70年という歴史の中で、周辺環境に歩調を合わせながら変化してきました。その歴史が明確に残っている部分が、Procedure 20-Quarter Panel(手順20-クォーターパネル部の解説)です。Includes Operations (含まれる作業)とNot Includes Operations (含まれない作業)に分かれます。クォーターパネル取替時に含まれる作業の中に、次の一文があります。Remove and replace urethane set glass; Back window and moulding,Quarter window and moulding

 この部分を意訳すると、クォーターパネルの取替作業には、接着式のバックウインドガラス及びクォーターウインドガラスの取替作業を含む。つまり接着式ガラスを新品に取替る前提で、工数が作られています。ガラスが割れていない状態で再使用する場合は、取り外し作業は別に、既定工数を加算します。ちなみにゴム式ガラスの場合は、脱着再使用が前提となっています。

 この部分を現在の感覚で読むと、ミッチェルは独特で理解し難いと感じます。バックガラスまで割れる事故は多くありませんし、脱着再使用するのが通常です。ミッチェルが創刊された70年前に戻って考えます。

 1940年代のアメ車の画像を見ていくと、既に接着式ガラスが採用されています。ガラス周辺に鉄のクリップを嵌め込み、それごとボデーに張り付けています。メッキモールを周囲のクリップに嵌め込んで、接着部を覆う構造です。車自体は別体フレームの上に、鉄の箱(ボデー)を載せている状態です。頑丈に作れと、前から後ろまで、同じ板厚の鉄板で作っています。鉄の棺桶です。この構造の車で、クォーターパネルを取替るほどの損傷を負えば、ほぼ100%近い確率でガラスが割れます。

 現在のようなモノコックのクラッシャブルボデーが出てきたのは、ミッチェル創刊から10年以上経ってです。1959年にクラッシャブルボデーの概念を市販化した車をベンツが発表し、世界に衝撃を与えました。1台の車を、前後のクラッシャブルゾーンと中央部のセフティゾーンに分ける。車の構造が変わり、ガラスは割れにくなりました。現在の車(セダン)でバックガラスまで割れているとしたら、相当に大きな事故です。ミッチェル創刊当時は、さもない事故でも、ガラスは割れたと想像できます。割れるのが通常だから、新品取替前提で工数が作られたと考えると、これも理に適っています。

続く

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