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車の再生に命をかけるボディワークス・アルファの板金日記 ≪毎週水曜日 20時に更新≫

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2019.01.16 Wed
④仕上げサンドがけとバフがけ作業、遺物除去と最終仕上げ作業について

 ミッチェルのProcedure 28-Refinish Procedure(塗装手順の解説)の中に、Finish Sand & Buff(仕上げサンドがけとバフがけ)という項目と、De-nib & Finesse(異物除去と最終仕上げ)という項目があります。この2項目の作業内容は重複しているので、適用時に戸惑います。ミッチェルの歴史を考慮して考えます。70年前はラッカーの時代です。仕上げサンドがけとバフがけという項目は、この当時に作られました。

 ラッカー塗装したパネルは全面に研ぎを入れ、バフで磨きながら肌調整と艶出し作業をするのが一般的です。現在のウレタン塗料では、塗りながら肌調整をおこないます。塗り終わった時点で、軽なら軽に、高級車なら高級車に見合う肌に仕上がっています。磨かなくても、充分な艶があります。ブース内での作業が一般的です。塗装中に異物が付いた部分だけを、ピンポイントで研いで磨きます。時代が変わり塗料も設備も作業内容も変わり、異物除去と最終仕上げという項目が追加されました。つまり2項目のうちの1項目を、どちらかを加算するのが、正しい使い方となります。

⑥塗装材料代の扱いについて

 ミッチェルの塗装工数には、塗装材料代は含まれていません。別途で請求します。ちなみにミッチェル工数全てにおいて、作業に伴う材料代は含まれていません。パネル取替作業や鈑金作業に伴う、ペーパーやスポットドリル等の消耗品代も、別途で請求します。

⑦ミッチェル塗装工数簡易計算表

 手順解説を読まない方でも、誰でも簡単に塗装工数を算出できる計算表を作りました。手書きで使用します。上から順に、1から4までは、ミッチェルの掲載工数を入れます。そこから下は項目内の指示に従い、数値を入れていきます。次週のブログで、30プリウスでの使用例を掲載します。初めて見る方にとっては、かなり衝撃的な内容になります。 続く
塗装工数簡易計算表
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2019.01.09 Wed
 年末からの続きです。ミッチェルの歴史を感じる部分の一つが、Procedure 28-Refinish Procedure(塗装の手順)です。この部分を現在の感覚で読むと、疑問点が続出します。基本工数に調色作業を含まない?、マスキングはパネルの周囲に1m?・・・・・・不思議だらけです。歴史を考慮すれば、疑問点も納得できます。70年前はラッカーの時代です。その頃に作ったものをベースに、現在の手順解説ができています。ミッチェル全般に共通しますが、古いルールはルールで残して、そこに新しいルールを重ねていきます。新旧ルールが混在しています。塗装手順の中で、実務で迷う部分について解説をします。

①調色作業への加算について

 基本工数はパッケージカラー使用が前提で、既定量の硬化剤や希釈剤(シンナー)を混入する作業が含まれています。我々が日常的におこなう調色作業は、基本工数には含まれていません。実車に合わせて調色する際は、別に作業分を加算します。加算値は定まっていません。顧客と話し合って、個別対応で数値を決めます。

 個別対応とはいえ、調色作業に半日掛かったからと、4時間分を請求するのは無理があります。損保が認めないという意味の無理ではなく、相場を超えるという意味での無理があります。相場価格を超える商品は、並大抵ではない智恵と苦労を伴わずには売れません。自動的に高品質=高価格で売れるなら、マーケティングなど必要ありません。自力で売れない商品を損保に押しつけたら、それでは押し売りと同じです。

 相場の範囲内で、損保側も納得する数値を基準として採用した方が、長期的にはメリットがあります。補修塗装指数内の加算基礎数値を分解すると、調色全般に必要な作業は0.80です。これを基にして1色の場合は0.80を、2トーンカラー等の場合は、2色目以降に各0.40を加算することを提案します。高難度の調色作業が必要な場合は、基準値をベースに話し合えばよかろうと考えます。

 ミッチェルは塗装という作業を細分化し、おこなった作業を積み上げて料金算出します。個々の作業に対する数値は小さくても、合計すると、それなりの数値が出てきます。感覚的には第一次補修塗装指数に近いです。作業量と算出数値が正比例しますので、現場から見ての納得感はあります。塗り枚数が1~2枚の時の数値差は小さく、3枚から4枚と塗り枚数が増えるに連れて、数値差は拡大していきます。

②下処理作業への加算について

 ミッチェルは新品部品や、損傷の無いパネルを使用するのが前提です。中古部品や損傷パネル使用時の下処理作業は含まれていません。溶接部の下処理作業も含まれていません。鈑金部分の最終研磨作業は150番台となっています。ウレタンプラサフ2回塗りでシールして、乾燥後に仕上げ研ぎです。この部分を下処理作業として捉えます。作業量に見合う数値を加算します。加算値は定まっていません。顧客と話し合って、個別対応で数値を決めます。

 個々に作業量が違い、一律に同じ数値を入れる事はできませんが、目安としての基準が欲しいです。第一次補修塗装指数で使用された「比例修正パネル下処理およびスクラッチ指数」を流用する事を提案します。指数の黎明期に自研センターから発表されたもので、若い方は存在自体を知らないと思います。協定までおこなう事を前提に考えていますから、損保側の資料で使えるものは使います。

③シーリング作業への加算について

 ミッチェルでは取替工数の中に、水密の為の一般的なシーリング作業は含まれています。シーリングの形状や模様の忠実な再現を必要とする場合は、作業量に見合う数値を加算します。

続く

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2019.01.02 Wed
 新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いします。凄まじい勢いで、1年が過ぎました。水面下の変化が、次々と現れてきます。今年の挨拶は、年末からのミッチェル解読に関連して、秘めた思いについて語ります。昨年、些細な事からミッチェルに興味を持ち、アジアンを入手し読み始めました。手探りで続けているうちに、本質に迫ってきた感じがします。

 我々が車を修理する時に、何を基準に修理するのか。修理の基準がメーカーマニュアルである事に、異論のある方はいないと考えます。トヨタ車ならトヨタの修理書、或いはそれに準ずるものを確認しながら修理するのが、プロとしての正しい姿勢です。その作業に要する時間は、メーカー工数を基準に考えるのが妥当と考えます。メーカー工数が本来の我々の基準(ものさし)の筈ですが、現実のBP業界の基準(ものさし)は自研指数です。便宜的にメーカー工数=自研指数として、使用せざるをえない現状です。

 こうなった遠因は、日本では自動車メーカーに情報開示義務が無いからです。リコール情報等を除けば、販売車両に対しての情報提供をしなくても、法的に罰せられる懸念はありません。これで最も不利益を被るのは、我々修理業者ではなく、一般の生活者です。レクサスなどは典型ですが、高年式車の故障時には、正規デーラーに持ち込む以外の選択肢がありません。町工場に運び込まれても、ろくにデーター公開されていない状況では、やれる事にも限りがあります。メーカー側にしてみれば、価格競争と無縁の独占的な商売ができますから、情報開示は必要最低限に止めておきたいわけです。

 アメリカには、I-CARという組織があります。生活者の利益を守るというビジョンの下に、事故車修復に関わる全ての関連業種が連携し、作業者への教育事業等をおこなう、独立した非営利団体です。アメリカで正規販売されている車両のメーカー情報、OEMで製造ラインに入っている塗料メーカーの情報、新品部品やリビルト部品メーカーの情報・サプライヤーや修理業者の情報等、あらゆる関連情報がI-CARに集中して、教育やコンサルタントの現場に生かされています。もちろんミッチェルとも、密接な関係にあります。カーメーカーのマニュアル、塗料メーカーのマニュアル、I-CARの教育マニュアル、ミッチェル工数、全て連動していると考えてよかろうと思います。

 ここから先はリペゾウの推測ですが、ミッチェル工数とメーカー工数は、どうやら極めて近い存在と考えられます。もしそうであるなら、ミッチェルで損害額を算出するのは、正しい姿ではないでしょうか。ミッチェルアジアンに掲載されている、現行車の種類は豊富です。例えばマツダなら、CX-3・CX-5・CX-7・CX-9・デミオ・アクセラ・プレマシー・アテンザ・ロードスターといった車種が掲載されています。ミッチェルに関して未だ分からない部分が多々ありますが、自分なりに自信が持てるレベルに達したら、ミッチェルで国産車を見積って協定までおこなう事を考えています。

 ミッチェルでいくなら、レートを下げる必要があるかもしれません。現場作業者の立場からすれば、金額よりも適正な作業時間で協定する事を望みます。普通に作業して1時間掛かっても、その作業は指数で30分と決まっているとか言われる環境で、次世代が育つとは思えません。丸1日働いて、7~8割しかカウントされない職場で、若い人が我慢して働くでしょうか。適正な基準を導入して、自身のおこなった作業が正しく評価されて初めて、そこで本気が、自主的なやる気が出ます。次世代の職人が育ちます。

 ミッチェルと自研指数の根底に流れる思想や計測時の作業手順に、大差は無いと考えます。但し数値作成時の統計的な手法には、動かし難い差が見受けられます。リペゾウの推測どおりなら、標準作業者に実態が無いのも当然です。本来の自研指数は革新的で、検証作業にも柔軟に対応できる筈だったと思いますが、最初期の精神は忘れ去られてしまったか、それとも行き詰ってしまったか。どちらにせよミッチェルが世界各地で使われているように、自研指数が世界各地で使われる日が来るとは思えません。可能としたら、せいぜい中国だけです。

 普遍性を失った現在の自研指数に、何かの意味があるとは思えません。ガラパゴスのゾウガメに付き合って、我々に明るい未来が開けるとも思えません。業界全体で自研指数を、そろそろ卒業してもよい頃と考えます。

 自分が未だに自研指数を使っている理由は、アジャスターさん達を困らせたくないからだけです。ファンクラブ相手の商売です。顧客への説明は、自研指数でなくても不都合はありません。ただ協定作業だけは、アジャスターさん達との共同作業です。立場は違えど、現実的な範囲内で、顧客の満足度を追求する点では一致します。ある意味、彼らをパートナーとして捉えています。サラリーマンとしての立場も理解できます。余分な仕事を抱え込ませるのは、できれば避けたいです。悩ましいです。

 来週から再び、ミッチェル解読について掲載していきます。リペゾウ自身も未だ分からない部分が多々あるのが現状です。記事を鵜呑みにしないで、各自で考えてください。明らかに間違っていると思える部分があれば、コメントをください。否定・肯定に関係なく、建設的な意見は追記に掲載します。

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2018.12.26 Wed
ミッチェル解読ポイント ③

 ミッチェルを解読する最大のポイントは、歴史を考慮することです。ミッチェル社の設立は1946年。70年以上の歴史があります。70年前と今とでは、同じ車が走っているでしょうか。機能、構造、形状、あらゆる部分が異なっています。同じ修理方法や工具、補修材料や補修塗料を使っているでしょうか。昔と変わらない工具もありますが、一部だけです。補修用のラッカー塗料などは、入手自体が困難です。

 40年前の自研指数の最初期のマニュアルと今のマニュアルでは、比べれば相当に異なっています。ミッチェルも70年という歴史の中で、周辺環境に歩調を合わせながら変化してきました。その歴史が明確に残っている部分が、Procedure 20-Quarter Panel(手順20-クォーターパネル部の解説)です。Includes Operations (含まれる作業)とNot Includes Operations (含まれない作業)に分かれます。クォーターパネル取替時に含まれる作業の中に、次の一文があります。Remove and replace urethane set glass; Back window and moulding,Quarter window and moulding

 この部分を意訳すると、クォーターパネルの取替作業には、接着式のバックウインドガラス及びクォーターウインドガラスの取替作業を含む。つまり接着式ガラスを新品に取替る前提で、工数が作られています。ガラスが割れていない状態で再使用する場合は、取り外し作業は別に、既定工数を加算します。ちなみにゴム式ガラスの場合は、脱着再使用が前提となっています。

 この部分を現在の感覚で読むと、ミッチェルは独特で理解し難いと感じます。バックガラスまで割れる事故は多くありませんし、脱着再使用するのが通常です。ミッチェルが創刊された70年前に戻って考えます。

 1940年代のアメ車の画像を見ていくと、既に接着式ガラスが採用されています。ガラス周辺に鉄のクリップを嵌め込み、それごとボデーに張り付けています。メッキモールを周囲のクリップに嵌め込んで、接着部を覆う構造です。車自体は別体フレームの上に、鉄の箱(ボデー)を載せている状態です。頑丈に作れと、前から後ろまで、同じ板厚の鉄板で作っています。鉄の棺桶です。この構造の車で、クォーターパネルを取替るほどの損傷を負えば、ほぼ100%近い確率でガラスが割れます。

 現在のようなモノコックのクラッシャブルボデーが出てきたのは、ミッチェル創刊から10年以上経ってです。1959年にクラッシャブルボデーの概念を市販化した車をベンツが発表し、世界に衝撃を与えました。1台の車を、前後のクラッシャブルゾーンと中央部のセフティゾーンに分ける。車の構造が変わり、ガラスは割れにくなりました。現在の車(セダン)でバックガラスまで割れているとしたら、相当に大きな事故です。ミッチェル創刊当時は、さもない事故でも、ガラスは割れたと想像できます。割れるのが通常だから、新品取替前提で工数が作られたと考えると、これも理に適っています。

続く

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2018.12.19 Wed
 今年度当初に入手したミッチェルアジアンですが、いつの間にか最初から最後まで、日本語版と同じ感覚で読めるようになりました。英検4級に落ちたリペゾウが、英語の本が読めるようになるとは・・・このブログを読んでる学生さんは、成績悪くても自信をもって生きていきましょう。体の成長は止まっても、頭と心は日々、成長し続けます。

 欧米人が作るマニュアルは、日本人の作るものよりも、想定している読者の対象が広いという特徴があります。これは英語が喋れないワーカーとして入ってくる移民でも、なんとかしようという発想が根底にあります。その延長でマニュアルには、絶対性が求められます。書かれているとおりにやる。書かれていない事はやらない。というより、やったら駄目です。必然的にマニュアル内の文章は、白か黒という二者択一の厳しい表現になります。解釈が幾通りもできたら、もうマニュアルではありません。1つしか解釈できないように作ります。

 じつはミッチェルも、同じ思想の上に作られています。日本語には曖昧な表現が多々あります。マニュアルには、英語の方が適します。ミッチェルは海外版から入る方が、理解が早まります。自研指数と比べると構成はシンプルで、文章は簡潔です。幾つかのポイントを押さえれば、一気に全体像が理解できます。一般的な日本人には理解し難い部分があると思われてきましたが、ポイントを理解してから読めば、ミッチェルは合理的に理路整然と作られている事が分かってきます。マニュアルとしての完成度は自研指数よりも高く、使用は容易です。

 ミッチェル解読ポイント ①

  ミッチェルは正常な状態の車、正常な部品で作業することが前提です。自研指数は、ある程度の損傷が発生している状態も、前提に含みます。この違いがよく分かるのが、フロントサスペンション部位です。フロントサスペンション脱着での自研指数の作業前提条件は、片側フロントフェンダ取外し状態になります。これはフロントサスペンション脱着が必要な状態は、フロントフェンダエプロンにも何らかの損傷があるはずだと。だからフロントバンパ・片側ヘッドランプ・片側フロントフェンダを脱着して、フェンダエプロン、つまり骨格部をむき出しの状態にしたうえで、最低限でも点検作業が必要になるという考えが根底にあります。

 ミッチェルでは正常な状態の車ですから、サスペンションAssyを単純に下に落とします。フロントフェンダを外さなくても、一般的な車はフロントサスペンションが外せます。なのに敢えて、作業前提条件をフロントフェンダ取外し状態としている部分に、自研指数の特異性があります。我々業界人は自研指数に慣れていて、それを基準に考えます。だからミッチェルは独特と感じますが、一般人の感覚からいけば逆です。ミッチェルの方が分かり易く、普遍性があります。

ミッチェル解読ポイント ②

 日米の社会制度や現地事情の違いを考慮しながら読めば、理解が早まります。ミッチェル工数には、ヘッドランプ脱着・取替時の焦点調整作業は含まれていません。調整作業時は別に、既定工数を加算します。またフロントサスペンション脱着・取替時、或いはリヤサスペンション脱着・取替時のホイールアライメントの点検・調整作業も含まれていません。点検・調整作業時は別に、既定工数を加算します。主体作業に含まれていない理由は、日本の車検制度が関連してきます。

 車検が通らない状態の車を、顧客に引き渡しできません。車検が通る状態になっているかどうかを、作業後に確認する必要があります。だから自研指数の主体作業には、焦点調整作業やアライメント調整作業が含まれています。アメリカには車検制度がありません。説明責任は当然ありますから、顧客に車の状態を説明し、依頼があれば別料金でおこなうというスタンスです。別項目で記載されているのは、理に適っています。

続く

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